COLUMN
[ 2014.03.24 ]

バッハや自由の女神も!じつは深いクラウドファンディング400年の歴史とは


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最近では家入一真さんが東京都知事選の選挙資金を集めたことでも話題になったクラウドファンディング。
はじめて聞いたという人もたくさんいたのではないでしょうか。

そして、「不特定多数の人びとに比較的少額の資金提供を呼びかけ、一定金額が集まってからプロジェクトを実行する」というクラウドファンディングは、インターネットとSNSを活用した新しいサービスだと思ってらっしゃる方も多いと思います。

しかし、クラウドファンディングは決して、最近始まったようなサービスではありません。
世界的音楽家であるバッハも、創作活動にクラウドファンディングの仕組みを利用していたなんて、知っていましたか?

今回は、クラウドファンディングの原型となった歴史的エピソードを紹介しつつ、その根底にあるギフトの概念について考えてみましょう。

1. 最古のクラウドファンディングから見る出版の新しい形

antigue book
クラウドファンディングの原型としてもっとも古いエピソードは、今から約400年前のヨーロッパ。
17世紀初頭に活躍した書籍編集者のジョン・テイラーが、書籍の印刷代を寄付によって集めたという事例です。

寄付の見返りとして、「寄付者の名前を、完成した書籍に掲載する」という権利を提供しました。
これはまさに購入型クラウドファンディングの典型例であり、現代のクラウドファンディングでもよく知られたギフトとなっています。

2.自由の女神とクラウドファンディングの意外な関係

Statue of Liberty and Rainbow bridge, Odaiba - Tokyo
1884年、アメリカの『自由の女神像製作委員会』が、自由の女神像を載せる台座建設の資金を使い果たしてしまう、という珍事が起こりました。
像自体はフランスから贈られるのに、置き場所がなくなってしまったのです。

立ち上がったのはジャーナリストで実業家のジョセフ・ピュリッツァー。
自分の経営する新聞『ニューヨーク・ワールド』で、一般市民に台座の建設費用を寄付するように呼びかけました。

結局このプロジェクトにはおよそ6ヶ月で10万ドルもの寄付が集まったのですが、金額もさることながら、なんと百万人以上が1ドル以下の小額を寄付することで実現したことで大変驚かれました。
ひとりひとりの力は小さくても、たくさんの力が集まることで、国家事業さえ実現できるということがわかります。

3. 偉大な音楽家バッハの作曲を支えたクラウドファンディング

Musical composition with vintage pen
中世の音楽家と言うと貴族をパトロンにした贅沢なイメージがありますが、著名な音楽家であるバッハやベートーベンも、クラウドファンディングの仕組みを制作に利用していたことが知られています。

たとえばバッハは宮廷楽長の職を辞し、教会の音楽監督に就任するなど、市民のための音楽活動に尽力しました。
このとき、たくさんの人びとから小口の援助を受け、その見返りとして作品の初版や特別限定版の楽譜を贈っていたそうです。

クリエイティブな活動は資金調達が困難になりがちですが、価値のある作品には必ず支援者が現れます。
クラウドファンディングは芸術と親和性の高いシステムなので、作品を発表するための手段のひとつとして、覚えておきましょう。

いかがでしたか?
歴史を振り返ってみると、クラウドファンディングとはインターネットが生まれるはるか昔から採られてきた手法であることがよくわかります。
そしてインターネットやSNSがこれだけ普及した現代では、資金集めは昔と比べてかなり効率的に実現できるようになったと言えます。

「お金がない」と夢や希望を諦めてしまいがちですが、それはとてももったいないこと。
どうしても成功させたいプロジェクトであれば、その価値をクラウドファンディングを活用して、世の中に問うてみるのはいかがでしょうか。

参考

Seventeenth-century crowd funding – Mercurius Politicus
The Statue of Liberty and America’s crowdfunding pioneer
Bach-Archiv Leipzig



WRITER この記事を書いた人
朽木 誠一郎
WRITTEN BY
朽木 誠一郎
医学部を卒業したのにメディアの編集をしています。個人としてライター活動も継続中。
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