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[ 2014.06.25 ]

【前編】鎌倉市がクラウドファンディングを活用!「かまくら想い」プロジェクトとは


【前編】鎌倉市がクラウドファンディングを活用!「かまくら想い」プロジェクトとは

2014年3月25日、東京丸の内で開催された「ソーシャルグッド会議」において、過去1年間で寄付文化の創造に最も貢献した団体・個人をたたえる「ジャストギビング アワード2014」の表彰式が行なわれました。

今年は、『行政×クラウドファンディング』という新たな分野での取り組みとなった鎌倉市観光商工課がアワードを受賞しました。
今回は前編・後編の2部構成で、鎌倉市が成功させたクラウドファンディグについてお伝えします。

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第一回ソーシャルグッド会議 in 丸の内

第一回ソーシャルグッド会議 in 丸の内

ソーシャルグッドとは、社会貢献を支援するソーシャルサービスや、それらを活用する取り組みのこと。ここ「ソーシャルグッド会議」は、企業、行政、NPOが行う社会的意義のある活動を、約10分間のプレゼンテーションで発表し、アイデアを共有する場として開催されました。

プレゼンテーターは、寄付を集めるファンドレイジングサイトJustGivingを運営する「一般財団法人ジャスト・ギビング・ジャパン」はじめ、無印良品でお馴染みの株式会社良品計画の社内に設けられた「くらしの良品研究所」、ビジネスパーソンが集う丸の内朝大学の「農業復興プロデューサーカリキュラム受講生」など7団体。それぞれの活動報告が行なわれ、会場に集まった100名以上が注意深く耳を傾けました。

この「ソーシャルグッド会議」内で行なわれたのが、今回鎌倉市が受賞したジャストギビングアワード2014です。
過去にはノーベル生理学・医学賞を得た山中伸弥教授が所長を務める京都大学iPS細胞研究所(http://justgiving.jp/p/595)が受賞するなど、とても権威あるものとしてその価値は高まっています。
今年の表彰式では、鎌倉市を代表し市民活動部観光商工課の齋藤和徳(さいとうかずのり)課長が登壇し、鎌倉市の観光事業についての現状報告、そして新たな取り組みとなったクラウドファンディングの紹介が行われました。

年間2,000万人の観光大都市「鎌倉」とは

年間2,000万人の観光大都市「鎌倉」とは

まずはクラウドファンディングを行なう事となったきっかけや結果の前に、鎌倉市の観光規模、そして現状の施策、問題点について、齋藤課長がプレゼンテーションを行いました。

鎌倉市は国内外問わず知名度が高く、地域ブランド調査2012(株式会社ブランド総合研究所)によると、全国第6位の魅力を有する都市だそうです。観光客は年間約2,000万人。京都市の年間観光客数約5,000万人と比べると半分以下ですが、面積当たりで割ると、京都市の8倍にもなるのだとか。

鎌倉市はリピーターが多く、3回目以上の訪問者は全体の7割を占め、成熟した観光地と言えます。

広告・集客力のある鎌倉がクラウドファンディングに踏み切った理由

広告・集客力のある鎌倉がクラウドファンディングに踏み切った理由

観光資源も豊富でファンも多い鎌倉には、当然大きな広告力があります。
鎌倉市観光商工課のウェブサイト「かまくら観光」へのアクセス数は、年間93万PV。印刷物は、観光マップ15万部、旬な話題を届ける観光冊子は36万部発行しています。

鎌倉市の観光予算は、平成24年度で総額約2億円。このほとんどは住民税でまかなわれており、年間2,000万人の観光客が訪れても、実は税収効果としてはあまり高くないのだそうです。

そこで鎌倉市では、観光資源を活かした『税金以外の収入確保』に注力をはじめました。

そのひとつは広告収入として、ウェブサイト・観光冊子に民間からの広告を掲載し、年間約250万円の収入を得ています。
そして昨年2013年には、海水浴場のネーミングライツ(命名権)にも取り組み、鳩サブレーで知られる豊島屋が年間1,200万円で10年間の権利を得ました。

もうすでに、強力な広告力と集客力を持っている鎌倉市のことです。
いかに税金以外から収入を確保し、観光客の満足度と共感を得られるような施策ができるかと頭を抱えました。
そこで、昨年新たな取り組みとして活用したのが、クラウドファンディングだったのです。

鎌倉ファン100名が、クラウドファンディングで支援!

鎌倉ファン100名が、クラウドファンディングで支援!

鎌倉市は、10ヶ所の新しい観光案内板を建てる「かまくら想いプロジェクト」のためにクラウドファンディングをはじめました。プロジェクト内では、一口1万円として寄付を募り、新設する案内板に支援者の名前を刻むというギフトを設定しています。
サポーターの数は約100名までにのぼり、設置費用100万円を3週間で集める事に成功しました。

結果、鎌倉市は「観光が税収につながらない」という課題に対して、クラウドファンディングの活用で新たな収入を得るだけにとどまらず、ジャストギビングアワード2014をも受賞するという快挙を達成したのです。

これほどまでに広告・集客力のある鎌倉市が、なぜクラウドファンディングで成功したのでしょうか。
プロジェクトページに寄せられたメッセージから、その秘密を垣間みる事が出来そうです。

  • 鎌倉生まれ鎌倉育ち。もっとたくさんの人が鎌倉に訪れてほしい。そして自分が鎌倉を愛した証を残したい。
  • 鎌倉は祖父が移り住み、父とその親族の故郷になった大切な街。私にとっても、子どもの頃からの家族の思い出がいっぱい詰まった愛する場所。名前を刻むチャンスに間に合って嬉しいです。
  • 鎌倉で生まれ育ち、鎌倉を愛し続けます!現在東京で俳優活動をしており、いずれは鎌倉をアピールできる作品を作りたいと思っております。鎌倉愛をもっともっと広げていきたいです!!
  • 手術のリハビリのために始めた鎌倉の山歩きですが、主人はいつのまにかそれが楽しみになり、私も一緒にひととき楽しい時間を過ごせました。主人の想いものせて寄付させてください。
  • 鎌倉のお寺に我が家のお墓があります。いつもお世話になっている鎌倉に感謝の気持ちです。
  • 鎌倉市以外の人間が鎌倉を直接支援できるなんて、素晴らしい取り組です!応援します!
JustGiving「かまくら想い」プロジェクト、コメントページより抜粋

などなど、心温まる鎌倉ファンのコメントがずらりと並んでいました。
多くの人に愛されていた鎌倉だからこそ、成せる業だったのかもしれません。
とは言えその結果、「好きな街に寄付をする」という意識を市民に植えさせられたのも、鎌倉市の大きな功績であることは確かでしょう。

後編では、登壇後の齋藤課長に直接伺ったクラウドファンディングについてのインタビューをお届けします。



WRITER この記事を書いた人
北野 啓太郎
WRITTEN BY
北野 啓太郎
音楽系ウェブマガジン編集長を経歴し、現在フリーランスとしてライター、映像編集などを行う。過去の経験を活かし、プロジェクト立案のコツ、成功者へのインタビューをおこなっていきたい。
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